2023年9月7日
ほっそり長い草がぐんぐん育ち、ななめに差し込む日の光はすっかり秋色、黄金色。この光の中で空気中のちりやほこりがキラキラ踊っているのが目にとまる。すると隣でエリナーさんが言います。
「日光がさしこんでおどった、この部屋のすすけたまどをみがいたり、床につもった、むかしのちりをはいたりするために、女中がほうきと雑巾をもってはいってきたことは、一度もありません。あのちり、ほこりがなかったなら、「本の小部屋」は、あのなつかしい部屋にはなれなかったでしょう。星くず、金泥、花粉……。いつかは土の下にもどり、ふたたびヒヤシンスの形をとって、大地のひざから咲き出すちりあくたたちなのです。
’’このしずかなちりこそは’’と、アメリカの詩人エミリー・ディキンソンはいいます。
このしずかなちりこそは、
紳士に淑女、若衆にむすめ、
その笑い、ちから、ため息、
おとめらの服、まき毛。そして、イギリスの詩人ヴァイオラ・メネルは‘’昼、ひそやかにきて’’彼女の棚の上の輝いているものの上につもるほこりをふきながら、つぎのように考えます。
けれども、ああ、
わたしがぬぐい去る、このちりは、
花や王たち、ソロモンの寺、詩人、ニネヴェなのだ…わたくしが、目をいたくしながら、こそこそと本の小部屋を出てくるとき、わたくしの頭のなかには、まだ、まだらの金の粉がおどり、わたくしの心のすみには、まだ、銀のクモの巣がこびりついていたとしても、ふしぎはありません。」
(岩波少年文庫「ムギと王さま 本の小べや1」エリナー・ファージョン作石井桃子訳より)
百風森はこの「本の小部屋」にもつながっているようです。どうぞ、裏風越のかどをまがり森の入り口を見つけて中へお入りください。おはなし会が終わって帰るころには、まだらの金の粉や銀のクモの糸をまとっているかも、しれません。
会の記録として「百風森だより」を書いています。「どんなことやってるの?」「何人くらい来てるの?」などの参考にもなると思いますので、是非のぞいてみてください。
百風森のおはなし会
実施日時:
10/11(水)14時半〜15時半
実施場所:ミーティングルーム03
申し込み方法:2日前までにフォームに申し込みをお願いします。
ナビゲーター プロフィール
澤田 典子/さわだ のりこ
息子が通った幼稚園でおはなし(昔話などの素話)に出会い、とりことなる。たくさんたくさん聴いて、やがて自分も語るようになって、はや10年目。長野市内の子どもたちにお話を届けるサークルで活動したり、風越学園では主に前期の子どもたちに語っています。
先日、20人以上の語り手が集まるおはなし会に参加してきました。世界中でひとりのその人の声で、その人らしくそれぞれ語られるおはなしを聴いて、「やっぱりおはなしっていいな~」と再確認したこの頃です。
裏風越の案内を読んでわくわくしました。どれくらい興味を持って参加してくださる方がいるかわからずちょっぴり不安ですが、今回の企画を通じて素話の魅力が伝わり、語り手が増えるきっかけになるといいなと願っています。
スタッフと在籍保護者有志による裏風越運営サポーターです。